第1章 目が覚めて。
「…で、どうすんだよ、この女」
「あァそうそう、クザン君。」
「?」
どうやら、牢屋の中にいる男は“クザン”という名前のようだ。
牢屋の中の真鈴はほっておいて、話がどんどん進められる。
「後は頼んだよォ〜」
「…は?」
「センゴクさんがねェ、キミをその女のお世話係ー…ってのは手前で、監視役に抜擢されたんだよォ〜」
「なっ…‼︎ 世話役って…‼︎ ヒナとか他にいんだろ⁉︎ 女の海兵‼︎」
「センゴクさんが決めたことだからねェ。分からないよ、センゴクさんにしか〜」
「…っ」
黙っていた赤色スーツの男が話し出した。
「まぁ、詳しいことは後で言うつもりじゃ。…その女にな。」
「…あァ、分かった。」
「監視、しっかりしろよ…絶対に逃がすんじゃねェぞ」
「分かった分かった、逃がしませんよー」
牢屋の外にいた男2人はどこかに戻って行った。
「…さてと、お嬢ちゃん、俺名前知らないんだけど、名前教えてくれるー?」
「…………青、雉」
ポツリ、と真鈴が呟いた。
「⁉︎ 嬢ちゃん、俺の名前知ってるの?」
「…小さい頃、テレビで見たことがある。あっちの世界の…海軍大将、“青雉”ってね…」
(さっき思い出したんだけどね…)
「へェ〜、意外と知られてるんだ、そっちの人間に…じゃなくて、お前の名前は、ってんだ。」
「……知らない人に名前を教えてはいけません。」
「…律儀だねェ、お嬢ちゃん。あーあ、サカズキさんに聞いてこりゃよかったな…」
サカズキ、という言葉に真鈴がピクリと反応した。
「…赤シャツの人?」
「そう。サカズキ、通称・赤犬。ちなみに黄色のスーツの奴は、ボルサリーノ、通称・黄猿。俺、クザン、通称・青雉。…で、お前は?」
「江ノ坂真鈴、通称・リンリン。…あ、」
バッと口元を抑えた。
「つられちゃったねェ。リンリンちゃんね、よろしく〜」
「…っ」
ヒラヒラと手を振る青雉。