第1章 目が覚めて。
「ん…」
真鈴は目が覚めた。
目の前には、薄暗い天井が広がっている。
そして、自分はベットの上にいるようだ。
布団がかぶせられていた。
「…‼︎」
ふと横を見ると、男が小さな椅子に座り、机に肘をついて寝ていた。
この男には見覚えがある。
真鈴は勢いよく起き上がった。
「…つっ‼︎」
…が、途端に頭に痛みがはしった。
布団を剥いだ音で、肘をついていた男が目覚めた。
「…やっと起きたか」
「‼︎」
「あーあ…タイミング悪ィな…さっき帰っちまったよ、他の人ら。」
見覚えのある男が立ち上がった。
そして、ポケットからカタツムリのような何かを取り出した。
口元にそれを持っていくと、それに話しかけ始めた。
「あー…今起きた。……分かった」
ガチャン‼︎
「な、に…それ…」
「ん? コレかい? コレは…デンデン虫だ。」
「デンデン虫…」
「んー…お嬢ちゃんの世界でいう…電話ってモノだ」
「…。」
(カタツムリ型電話…? 変なの……って、それより‼︎)
「ちょ…ココどこなの…⁉︎」
真鈴の足首には枷が付けられており、辺りをよく見ると、ココは牢屋のような部屋だった。
「後で全部分かるさ。…もうすぐで来るから」
何が? 、と思ったその時。
足音が聞こえてきた。
だんだん近づいてきてー…
「‼︎」
牢屋の外に男2人が現れた。
その男達2人もまた、見覚えのある男だった。
「oh〜起きてる」
「やっと起きたか…。」
「‼︎」
この声、顔…やっぱりあいつらだ。
「ちょっと‼︎ ココどこな…つっ‼︎」
また頭に痛みがはしり、次は目眩までしてきた。
「おい…あんまり荒ぶるな。副作用が効いているはずだからなァ…」
牢屋の中にいる男が言った。
(副作用…⁉︎)
その男が牢屋の外にいる2人のうちの1人、赤色のシャツを着た男に向かって話し始めた。
「…だから言ったでしょ、副作用が強いから止めときましょうって」
「だからと言って使わなんだら、取り逃がしていたと思っちょるんじゃが…。」
それを聞いた、隣にいた黄色のスーツ着た男が話し出す。
「oh〜、キミの能力を使えば、逃がすどころか逃げ出せなくなっていたと思うがねェ〜」
「…ワシの能力使ったら、向こうの政府から苦情がくるじゃろ…。」
「ごもっともだねェ〜」