第3章 新しい部屋
「 あ、いや…ヒマだから大丈夫だ、行くぞ」
真鈴が残念そうな顔を見るなり、青雉は慌てて言い直した。
「そう? ありがと青雉」
「お、おう」
ニコリとこちらに微笑みかけられ、青雉の心臓がキュウンと締め付けられた。
「…あ」
(あ、でも外…行っていいのか? もしかしたら逃げるかもしれないのに)
ちなみにだが、まだ真鈴はこの世界から出る方法を探っている。
出来ることなら、ココからも早く出たいはずなのだが…
(…青雉の横にいるのが安心しすぎて、なんか離れ辛い…)
この世界に来て、青雉に会って、少ししか時間が経っていないのに、青雉の横が居心地よくなってしまった。
(まぁそれ以前に…全く帰り方が分かんないからね……今は現状維持。帰り方分かったら、即逃げよ)
真鈴がそんなことを考えているとは知らずに、青雉は話を進める。
「あー…でも、許可いるなぁ…めんどくせェ……よし、黙って行こ」
「…それ駄目でしょ、やったら‼︎」
「いいじゃん。だってめんどくさい」
「理由がめんどくさいって…」
(…センゴク…さん、が聞いたら頭抱えるだろうに)
ここのお偉いさんの顔を思い浮かべ、軽く顔を引きつらせて笑った。
「青雉、そんなことしたら海軍辞めさせられるかもしれないよ⁉︎」
「……海軍を辞める…か……」
「青雉?」
ボソリと独り言を言うように言ったため、真鈴には聞こえなかった。
「あ〜いや、なんでもねェよ。…めんどいけど、行くかァセンゴクさんとこへ」
「私も?」
「…の方がいい。ほれ、行くぞ〜」
二人はセンゴクの元へ向かっていった。
…行く途中、やはり視線を感じる。
(やぁっぱり視線が突き刺さるねぇ…)
「…リンリンちゃん、入る?」
真鈴の様子に気付いた青雉は右側のマントを広げ、空いた空間を指差す。
「入る」
真鈴が青雉のマント…腕の中にすっぽりはまろうとした、その時。
「クザン大将‼︎」
「ん〜?」
青雉が誰かに呼び止められた。
真鈴は隠れるように、青雉の腕の中に収まった。
「なんだァ? …って、コビーか」
「はい‼︎」
「あの…一応俺もいます…」
コビーの後ろから、ヘルメッポがヒョコッと顔を出した。
(この人…確か…)