第1章 繋がる糸
【浦原喜助 side】
門の中へ去っていく彼女を見送りながら、アタシは自分の中に生まれた感情をどうしていくべきか考えていた。
まだ幼さの残る少女である青蘭に対し、男としての自分を意識させたくて、彼女の焦がれる相手に自分がなりたいと、強くなる欲。
長い間生きてきて、初めて知った恋慕の情は、熱く苦しい。………きっとこの苦しさから救ってくれるのは彼女の存在。
夜一さんは笑っていたが、これは自分が思っている以上に重症であると。
触れた肌は透き通るように白く、柔らかい。
溢れるような笑顔は花が綻ぶような華やかさがあり、思わずこちらまで笑顔になってしまう。
明るく人懐っこい性格は人を__アタシを惹き付けて止まない。
そして、斬魂刀を手に凛と佇む姿は聡明かつ美しく、見るものすべての心を奮い立たせる力を放つ。
きっと彼女は"ホンモノ"___
この世界の一翼を担う存在。
そんな彼女の特別になりたいと願うのは欲深きことなのか?
身の長に合わないかもしれない?
………でもね。アタシは研究者なんスよ。
研究者ってのはね、誰よりも執着心が強いもんでね。目的の達成の為ならば幾らでも頑張れるんス。
夜一さんには感謝しなきゃっスね。
………青蘭さん………
早く貴女に触れたい。
触れて貴女をアタシだけのものしたい。
欲深きアタシを許してくださいね。