第1章 繋がる糸
目の前の浦原の空気感が変化したことに気づき、その顔を覗き込むと憂い表情を見せていた。
浦原の急な変化に鼓動を早める心臓。
「き、喜助さ___!?」
次の瞬間、浦原の顔はすぐ目の前にあって、お互いの額をくっつけたまま黙り込む浦原。
今もなおドキドキと煩く騒ぐ心臓の音が浦原と触れているところから伝わっていると思うと、恥ずかしさのあまり顔まで熱くなってきてしまった。
浦原「……ははっ、青蘭さんの心臓、元気ッスね。……まぁアタシも似たようなもんですけどね。」
「え………」
言われて意識をしてみると確かに浦原の心臓も激しく拍動していることに気づく。それと同時に自分が浦原のそれに気づけないほど動揺していたことを思い知らされる。
浦原「………貴女とこうして修行できるのもあと数回ッスね……。そうしたら貴女は中央霊術院に行ってしまう。………何スかね。この先会えなくなる訳じゃないのに、物凄く…………………寂しいんスよ。青蘭に会えないことが………こうして、貴女に触れられないことが………。」
ゆっくりと離れた顔。
目の前の浦原は悲しそうな目をしながら、口許には笑みを浮かべている。
そんな彼の表情は私の胸をきゅう、と締めつけ、チリチリと柔い痛みを与えて。
「………喜助……さ………んっ………ん……」
唇に感じる柔らかな熱。
一度離れては、引き戻されるように再び重なる。
次に視界に入り込んできたのは寂しげな浦原の瞳で、私は視線を逸らすことも出来ずにただその瞳を見つめ返す。
浦原「………また………俺のここに………隣に………戻ってきてくださいね。」
ゆっくりと紡がれた浦原の想い。
私は苦しくなった胸を押さえながら、そっと浦原の胸に頭を寄せながら頷くと、頭上から"ありがとう"と声が聞こえてくる。
浦原から伝わる想いが私の心を震えさせる。
ドキドキして
嬉しくて
苦しくて
この気持ちの正体は何___?