第1章 繋がる糸
夜一に挨拶を済ませ、私は四楓院家の門へと向かう。
その胸中は嬉しい気持ちで満たされていた。
__今日の修行は楽しかったな……
華龍が始解出来たこと、
その華龍と共に修行が行えたことは私の心を強くさせた。
きっと華龍とならば、私はどんな苦境にも立ち向かえる。
そう確信した時間だった。
まさに門を出ようとした時、背後から近づく誰かの気配がした。
浦原「___青蘭さんっ!」
声の主を振り返り、私は微笑む。
浦原は夕陽が照らす中微笑む美しい少女に、思わず目を奪われたまま黙り混み、足を止めてしまう。
「___喜助さん?」
私の声にハッとした浦原はいつものヘラヘラとした笑顔に戻ると、私の横に並んだ。
浦原「家まで送るっすよ♪……こんな美人、一人で返したら気が気じゃナイッスから!……じゃ、いきましょ♪」
そう言い浦原は私の手を握ると、ズンズンと歩き始めてしまった。
「__あっ!?ちょっ、き、喜助さんっ!待って!」
浦原「ん~そうだ!青蘭さんっこのまま手を繋いだままで青蘭さん家まで瞬歩で行きませんか?……修行も兼ねて……ね?頑張ってアタシの速さについてきてください♪」
「もうっ!喜助さんってば突然すぎるよ!…でも、私の瞬歩は夜一さん仕込みだよ?ふふっ」
そうは言いつつもしっかり浦原の瞬歩についていく私。
その様子を嬉しそうに見つめる浦原。
繋いだ手から伝わる熱は暖かく、私の手を握るその手は繊細ながらも力強かった。
そのまま二人は家までの道を瞬速で駆け抜けていった。
家の門前にたどり着くとようやくその手は解放される。
今まであった熱が離れ、残された手に夜風が掠めていく。
浦原「__あらら。あっさりアタシの瞬歩についてきたっすね?!さすが、夜一さんに鍛えられただけありますね~……じゃあ、これはアタシからのごほうびッス♪」
浦原はふわりと体を屈ませると、私の頬にその整った形の唇でキスを落とした。
「___っ!?」
浦原が離れた後も頬にはジンジンと熱の余韻が残っていた。
浦原「……今日の出会いに感謝っすね。」
どこか切なげに微笑む浦原から私は目を離すことが出来なかった。