第1章 繋がる糸
私が昨夜の出来事を話すと、夜一さんと喜助さんは驚いた様子で聞き入っていた。
浦原「……マジッスか?それ……まだ中央霊術院に入学すらしてないのに……信じられないッス…」
夜一(斬魂刀の声が聴けるとは……やはり、青蘭の霊圧力は並大抵のものとは違うと言うことじゃな。)
夜一「さすがじゃ青蘭!わしが見込んだだけあるのぉ!……まさか、お主……始解は出来まい?」
浦原「やっ、まさか、それは……」
「……始解って?」
浦原「斬魂刀が真の姿になるための言霊っす。言霊を言って、その名を呼ぶと斬魂刀が形を変えるんスよ。」
華龍を呼ぶ"言霊"ーーー
私、知っている気がする………
夜一「ほれ、喜助。やってみよ。」
喜助は徐に刀を取り出すとスッと前に構えた。
その姿はどこにも無駄な力が入っておらず、自然体で美しかった。
浦原「啼け、紅姫っ!」
するとたちまち喜助の斬魂刀が形を変えた。
その形は今までの刀の流線型とは異なり、角張が目立つ形であったが、ひどく喜助に合っているように感じられた。
私は傍に置いてある華龍を握りしめる。
ーー私も、貴方を呼んでもいいかしら……?
私は立ち上がると華龍を構えた。
喜助、夜一「ーーーっ!?」
華龍と会ったその時から、心の中に響いてくる言葉があった。
今までわからなかったけど、今わかった。
私はその言葉を口に出す。
「天を渦巻かせーーー華龍天睛!」
その瞬間、華龍が光り、柄の龍の模様は青く光り、刀身は伸び、青っぽい白銀色へと変わった。
その姿を夜一と喜助は息を飲み見つめていた。
あまりに美しく聡明な姿は、息をつくことすら忘れてしまうほどだった。
夜一「……見事じゃ……見事じゃ!青蘭っ!……お主は知らんかもしれんが、その白鳥家の刀は風と水の二つを力を有しており、その威力たるや他の斬魂刀とは桁違いと、言われておる。……じゃが、実際はまだ、誰も始解すら出来ずにいたようでの。………やはり、お主は……」
浦原「………さすがっすね…流石のアタシもびっくりです。……でも、その斬魂刀、青蘭さんによく似合ってますよ。とても……綺麗ッス……」
喜助は思わず青蘭の姿に見惚れてしまった。