第1章 繋がる糸
目の前に現れたのはまだ少しあどけなさの残る少女で__
その美しさと醸し出す空気は、息をつくことすら忘れるほど。
その声は美しい鳥の鳴き声のようで、アタシの耳から脳内を蕩けさせ、意図せず持っていかれた心は、物凄い熱を帯び戻ってきた。
ドクンドクンと喧しいくらいに鼓動響き、生まれて始めて自分の体の中に沢山の血が流れているということを意識させられる。
ついさっきまで見ていた景色は突然色づき始めたように鮮明さを帯びた。
この気持ちは何なんだーーー?
夜一「ーーーこれ!喜助!お前も挨拶せい!」
夜一の言葉にハッとすると慌てて笑顔を作り名乗る。
喜助「初めまして!青蘭さん…アタシは浦原喜助と言う者ッス。以後、お見知りおきをっ♪」
いつもの調子で言葉を発するも、心臓はバクバクと騒がしいまま。
(なんなんすか、これ……アタシったらどうしちゃったんでしょ……)
「はいっ♪喜助さんっ♪こちらこそ、よろしくお願いします」
頭を下げる所作すら美しく、アタシは胸がジンジン熱くなっていくのを感じた。
思わず見惚れている喜助を、夜一はニヤニヤと笑みを蓄えながら横目で見ていた。
その視線にハッとし、夜一の方を見ると夜一はとても愉快そうに笑っていた。
喜助「ーーなっ!?何なんスかっ!夜一さんっ///!」
夜一「いーーや?何でもないぞ?……ま、お主も"男"というわけじゃの。」
喜助「んなっ////!?!?」
夜一が耳元に口を寄せてくる。
夜一「……青蘭に……持っていかれたようじゃのぅ……?」
瞬間、顔に熱が集まるのを感じ、思わず立ち上がり、厠へと急いだ。
(あ、あ、アタシ………もしかして………一目惚れってやつッスか///?!)
自覚したら最後。
心臓はバクバクと暴れ、全身が心臓になったかのようだった。
こんな気持ちは初めてだった。
青蘭………
アタシ、君を愛してしまったようです……