第1章 繋がる糸
気がつくと私は母の部屋の布団の中にいた。
私の横では母が規則正しく寝息をたてて寝ていた。
私は華龍を抱き締めたまま眠っていたらしい。
(華龍…これからはいつも一緒よ……)
心の中でそっと華龍に話しかける。
私は華龍天睛の柄に刻まれた華龍の左頬にあるものと同じ龍の模様を擦る。
母「青蘭…あなた………」
いつのまにか目を覚ました母が私と華龍を見つめる。
母は少し驚いた顔をしたが、すぐに柔らかな笑みを見せた。
「…母様…私……」
母はそっと華龍に触れた。
母「青竜丸、いや…きっと違う名前ね?………貴方が待っていたのは…… 青蘭だったのね…?」
「うん……本当の名前は…『華龍天睛』。」
母「華龍天睛……とても、美しい斬魂刀ね。不思議ね……何故だかこの刀が喜んでいるように見えるわ。」
母は華龍を握る私の手に自らの手を重ねる。
「母様……私、華龍とともに死神になるわ。」
母「そう……あなたと華龍ならきっと、父を越える死神になれるわ」
母はふわりと微笑んだ。
いてもたってもいられずに私は母に抱きついた。
「ーー母様っ!!私……大切にするわ?……これからは華龍とともに生きていくの。」
母の手が私の頭を優しく撫でる。
母「…貴女に、白鳥家の宝を任せますよ。」
「ーーーはいっ!」
私が笑顔を向けると母は嬉しそうに微笑んだ。
母「そろそろ朝食の準備が整うわ?貴女も夜一さんに会いに行くのならば、用意をし始めないと…」
母の言葉にはっとした私は急いで布団を片付け始めた。
「そうだった!…母様っありがとう♪大好き!」
私は母に抱きつき挨拶をすると、華龍を握り母の部屋を後にした。
部屋に残された母は青蘭の出ていった戸の方を見つめていた。
その母の頬を一筋の涙が伝う。
母「いつも貴女に……白鳥家の業を課せてしまい……ごめんなさい…… 青蘭……。母は……貴女が幸せであるよう願っていますよ………」