第1章 繋がる糸
………っ
青蘭……
青蘭……… 青蘭………
ーーー私を呼んでいるのは…誰……?
夜中に目が覚め、身体を起こす。
空から差し込む月の光が部屋を照らす。
その光の先には、白鳥家に代々伝わる宝刀が鎮座していた。
その刀に吸い寄せられるように手を伸ばすと、一瞬刀が光ったように感じた。
ーーー私を呼んでいるのは貴方ーーー?
この刀は白鳥家に伝わる宝刀は代々死神として仕えているこの家で、誰一人としてこの刀を使いこなしたことがないという。
名は「青竜丸」
ーーいや、違うわ。
貴方の名はーーーー
『華龍天睛(がりゅうてんせい)』
瞬間、刀が光り形を変えた。
柄に龍の模様の入り、刀身は青みがかった白銀。
月の光を反射し眩く光ると姿はとても美しい。
「とても、美しいわ………華龍天睛。」
刀を握ったまま私はそっと目を閉じる。
次に目を開けると、そこは月の光を浴び、銀色に光る水面の上に立っていた。
視界の先には岩場に腰かける一人の黒髪の男性。
その姿は凛々しく、そして、美しかった。
こちらを向く顔は首から左頬にかけて、龍の模様が入っており、その眼は右が灰青で、左は緑だった。
初めて会ったはずなのに、ずっと昔から知っているような気持ちだった。
「…あなたが、私を呼んでいたのね?」
彼は岩場から降りるとゆっくりとこちらに歩を寄せる。
私は両手を広げ、笑顔で受け止める。
?「ずっと……ずっと、お前を待っていた………音も色もない何もないこの世界で独り……待っていたんだ。」
彼は涙を流し、私をきつく抱き締め、私の髪に顔を埋めた。
私は笑顔でそれに答える。
「待っててくれてありがとう。…華龍天睛。……これからは、いつでも貴方の傍にいるわ?」
華龍天睛(以下、華龍)「……私はお前だけに仕え、お前だけを愛す。青蘭の……傍に…いさせてくれ。」
華龍はそっと私の唇に自分の唇を重ねた。
私を見るその眼はとても澄んでいて吸い込まれるように美しかった。
私は彼の熱を受け入れると彼の欲しい言葉を紡ぐ。
「これからは永遠に、この魂が地に帰るまで…ずっと一緒よ……」
華龍は満たされたように優しく微笑んだ。