第22章 story21“一瞬先の未来へ”
「彩芽!幸村!気を付けて行くんじゃぞ!昌幸によろしく伝えとってくれ!」
「秀吉様、重ね重ねありがとうございます!行って参ります」
「はいこれ!ねね特製おむすびだよっ、仲良く食べるんだよ」
「おねね様!ありがとうございます!」
ねねからおむすびを受け取るとねねはぎゅっと彩芽を抱き締めた。
「もぉーっ!帰ってくるのはわかっているけど寂しいよ~!」
「おねね様…」
ねねの言葉に思わず彩芽の目にも涙が滲む。
「幸村、しっかり彩芽を守るんだよっ!」
「はい!」
彩芽は清正と三成の元へと歩み寄り声を掛ける。
「本当に私の方が先に発つ事になっちゃったね」
「そうだな、気を付けて行くんだぞ」
「うん」
「馬の上で寝るなよ、落ちるからな」
「もう…三成、寝た事ないもん!」
「彩芽殿」
振り返ると幸村が馬に跨がり手を差し伸べていた。
「清正、三成、行って参ります!」
「…おう」
「あぁ」
笑顔で二人にそう言うと、彩芽は幸村の手を取り馬に乗った。
「…頼んだぞ」
「勿論です」
「………」
幸村は清正と短く言葉を交わした後、三成とも目を合わせ頷きあった。
はっ!と威勢の良い幸村の声で馬が駆け出した。
「おい、見送って良かっただろ?」
「………だから何の話だ」
徐々に小さくなる馬を見つめて佇む清正と三成の腕をねねが後ろから組むようにしてとった。
「ほらほら二人共っ!落ち込んでる暇なんかないよ!」
「お、おねね様……!!///はい!勿論です!」
「俺は別に落ち込んでなどいません」
「清正は良い子だね!三成もたまには甘えていいんだよ♪」
「これから更に忙しくなるのにそんな暇などありませんよ」
「も~!三成は素直じゃないんだから…っ」
赤面して固まる清正と膨れるねねの間を通り、三成は城へと戻ったのだった。