第17章 story16“家族”
(…い、言ってしまった……清正笑ってる…!)
真田家から預けられてるだけの自分がこんな事を思うなんておこがましいだろうか。
でも失った父、母、兄と同じように大切に思っている。
「期待した答えと少し違ったが…今はそれで十分だ」
「え…?」
「家族…そうだな、此処は俺達家族の家だもんな」
「清正…」
彩芽の手を引きそのまま抱き締める。
「絶対に守らなきゃな」
「…///」
清正の匂いに包まれる。
伝わってくる清正の鼓動はとても早い。
(どうしよう…ドキドキしてきた…///)
「…手の位置はそこじゃない」
「えぇっ?!」
抱き締めたまま彩芽の両手を取り、清正は自分の首に掛ける。
「…ここだろ」
「やだ…恥ずかしい……//」
自然と顔が上に向いてしまう。
息の掛かり合う距離に恥ずかしさが込み上げてくる。
「駄目、離すな…」
「清正…!///」
いつもと違う様子に彩芽は戸惑いを隠せない。
「どうしたの…清正も変だよ……」
「も?」
「うん、三成も…こないだ変だったから……」
三成に押し倒されたことを思い出し顔が熱くなる。
「三成の事考えて…赤くなるんじゃねぇよ」
彩芽と三成の間に何があったのかは知らないが、三成を意識している彩芽を見るのは嫌だった。
「違うよ…っ!でも、清正…無事に帰ってきてね」
清正の首に回していた手をほどいて真剣に顔を見つめる。
「……///おう」
漸く清正の抱擁から解放される。
どうやったって心配は拭えない、明日清正は戦に行くのだ。