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戦国四重奏 (戦国無双3)

第6章 story6“ぶらり、城下町”


「馬で行くのですか?」

「あぁ、その方が後々良い」

「?」

不思議そうにしている彩芽を気にせず、三成は自分の馬に跨がる。

色々な店を見て回ればきっと欲しいものもあるはず、その時には何でも買ってやるつもりだった。
三成の家来達がお供をと申し出たのだが、絶対に付いてくるなと厳しく言い聞かせた。



帰りの荷物を見越しての『馬』なのだ。



「行くぞ」

「はい」

自分の前に彩芽を座らせると三成は馬を走らせた。

三成の白馬は風を切るように走り、城下の町まで来ると減速する。

馬の上から見下ろした町は活気があり、何処の店からも威勢の良い声が飛び交っていた。

「わぁ……」


初めて見る大勢の人や見たことのない商品に彩芽の胸はときめいていた。

「今日はまだ静かな方だ」

「こんなに賑わっているのに…?」

「祭りの時などは城まで声が届く」

それも夜通しな、と三成が続けた。


「降りてもいい?」

身を乗り出すように見ていた彩芽は馬から降りて回りたい様子だった。

「此処で待っていろ、馬を預けてくる」

「はい」

三成を待つ間、彩芽は近くの店を見ていることにした。

「わぁっ綺麗…」

反物の店だった。
店先には牡丹や桜などを刺繍した色とりどりの反物が並んでいる。

「どれが欲しいのだ」

「きゃ……三成っ?!」

ふい横から声を掛けられ彩芽は肩を竦める。
早々に馬を預けて三成は戻ってきた。

「欲しいものがあるんだろう?」

「あっ…いえ、見てるだけで…」

反物から視線を外し、彩芽は話題を変えようと辺りを見回す。

「あ!三成、あれ見て風車があんなに!」

彩芽の視線の先を見ると、いくつものの風車が風に揺れていた。

「あぁ、そうだな…」

欲しいものがあれば言えば良いのにと思いつつ、三成はその言葉をぐっと飲み込む。
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