第6章 story6“ぶらり、城下町”
「ねぇ、彩芽!今日は城下を案内してあげよっか!」
天気の良いとある日、ねねが彩芽を城下へと誘った。
「城下ですか?」
「そ!たくさんお店も出てるし、彩芽もきっと楽しめるよう!」
反物屋、小間物屋、お茶屋に菓子屋…とねねは次から次へと上げていった。
子どものように笑うねねを見て彩芽も自然と笑顔になっていた。
「楽しそうですね、城下…行ってみたい」
「うんうん!よぉーし、一緒に「おねね様」
ねねの言葉を遮る様に二人の前に来たのは三成だった。
「秀吉様がお呼びですよ、急ぎだそうです」
「えぇー!?うー…仕方がないね、彩芽、城下はまたの機会…って三成!!」
「はい」
「三成が彩芽に城下を案内してあげてよっ!」
「……は?」
突然の話に三成は状況を理解しきれていなかった。
「みーつーなーりー!?彩芽が城下を見たがってるって言うのに冷たい子だね!」
「おねね様っ…私、そんな、今日じゃなくてもっ…」
三成を怒るねねを宥めるように彩芽は二人の間に入る。
「じゃ、三成、後はよろしくね!」
彩芽が言い終わる前にねねは窓から外に出て行ってしまった。
残された、二人。
「あの、三成…おねね様の言ってた事は気にしないで良いからね…?」
「支度は出来ているのか?」
「…え?」
「出掛ける支度は出来ているのかと聞いているのだよ」
三成の言葉に彩芽は目を丸くしていた。
「城下…行くのか?行かないのか?」
「あ……行きたい…っ!」
行きたいと言う彩芽の言葉に満足したように三成は小さく笑う。
「日が高いうちに行くぞ」
「はいっ!」
満面の笑みを浮かべる彩芽を見ていると自然と顔が綻んでしまう。
そんな自分に三成は気付いていた。
清正と親しげに話す彩芽を見て苛立ちを感じる自分にも気付いていた。
その気持ちが何なのかも。