第4章 story4“君のとなり”
彩芽が上田を立ってから1週間が過ぎた。
「ほら、見えてきたぞ」
清正が示す方向に大阪城が見えてきた。
門に近づくと、内側から扉が開けられ二人は中に入る。
「…大きなお城」
彩芽は大阪城を見上げ、その規模に驚いていた。
馬を止めると清正が彩芽に手を伸ばす。
「ほら」
「あっ…はい」
抱きかかえるようにして馬から降ろされる。しかし、馬から降りても清正は一向に彩芽を地面に降ろそうとはしなかった。
「…あの、清正様……?」
戸惑う彩芽を気にする様子もなく、清正は姫抱きをしたまま歩き出した。
「それじゃ歩けないだろう」
清正の目線の先には彩芽の足元。
そこにはあるべき筈の草履が片方なくなっていたのだ。
「…あ…でも、大丈夫です!私、歩けます!」
「いいから…黙って運ばれろ、草履を落とすお前が悪い」
「……恥ずかしい、です////」
「いいんだよ、馬鹿」
そのまま城内を進んで行くと、後ろから大きな声が聞こえた。
「きーよーまーさぁぁぁ!!!」
「…五月蝿いのが来た」
はぁ、と溜め息を着き清正は渋々振り返る。