第4章 story4“君のとなり”
「…父上」
幸村は落ち着いた声で、そして強い眼差しで父を見つめて言った。
「私は…真田幸村です!婚姻などに頼らずとも私は…私は必ず真田を大きくして見せます!!!」
そう言い切った幸村は昌幸の返事を待たずに部屋を飛び出した。
今のままじゃ駄目だ、もっと強くならなければ。
強くなって、名をあげて、彩芽を迎えに行く。
幸村の中に芽生えた新たな志だった。
「待っていて…必ず、私が迎えに行きます」
自身に誓うように幸村はそう呟いた。
それから幸村は再び鍛練場へと戻り 、槍を振った。
立ち止まってる暇は、ないのだ。