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戦国四重奏 (戦国無双3)

第4章 story4“君のとなり”


彩芽が上田を離れたあの日、幸村は城内を走り回り父の姿を探した。

何故、彩芽が出て行く事になったのか。
何故、何も知らされていなかったのか。


考えれば考えるだけ、幸村の頭の中は疑問で埋め尽くされていった。

「……父上!!」

昌幸の部屋の襖を幸村は乱暴に開けた。

「父上はおられますか!!?」

「……騒々しいぞ、幸村…」

「………」

幸村は昌幸の顔を見ながら乱れた息を整え、開けた時とは反対に静かに襖を閉めた。


「…彩芽は何故、上田を出たのですか」

「真田の為だ」

「真田の…?」

「これからお前達は真田の為に、より強い家と婚姻関係を結ぶ」

「婚姻…?」

幸村は突然の話にただ昌幸の言葉を繰り返すことしか出来なかった。

「その時…彩芽が側にいて、幸村、お前はその決断が出来るのか?」

「…!」



自分の気持ちは、父上にバレている。
そう確信した幸村は唇を噛み締め下を向いた。

「その為に彩芽には此処を去って貰った、案ずるな…彩芽の奉公先はあの豊臣だ、苦労はせずに済む」


そうかもしれない。
だが、彩芽が側にいない。
自分のとなりにいない。

幸村の脳裏には、彩芽の肩を抱く清正の顔が浮かんでいた。


これからはあの男が彩芽のとなりにいるのか?
今までの自分の様に、彩芽に笑い掛けられ、手を伸ばせばその柔らかな頬に触れられる。


真田の為…?



納得など出来なかった。



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