第6章 五章「手作りチョコレートと言い張るなら、カカオから」
「で、結局泉は傷一つなく帰ってきたんだよなぁ…」
「正直、情けなかったよなぁ、俺ら」
「あの時は完全に守ってもらっちゃったもんね」
「でも、今ははっきりしてる事、あるやん」
「うん」
泉を守ろう。
声には出さなかったが、六人の考えている事は一緒だ。
依頼を終えた私は、家で音楽を聴きながら夕飯を作っていた。
今まで一人分しか作っていなかったが、もう七人分の夕食を作るのにも慣れた。
すると。
「きゃっ」
いきなり後ろから抱きしめられ、驚く。イヤホンを外して振り返ると、それは准君だ。
「准君っ!びっくりしたぁ」
「油断したらあかんよー。…こういう事されんで?」
「へっ?…んっ…ぁっ…ちょ、耳、だめっ…」
准君は私の耳を舐めたり、甘噛みする。思わず声を出してしまうが、それも准君の唇によって封じられた。
「んーっ!!」
「ほんま、かわええ…」
「もっ、なに!?いきなり!」
「ごめんな。一足早く帰れたから。あと、昔話してたらな」
「昔話?桃太郎?」
「パッカーン…ってちゃうちゃう!!そんな昔やない!!…今日の夕飯なに?」
それからは准君が夕飯の手伝いをしてくれ、遅れて残りの五人が帰宅し、みんなでご飯だ。
「あ、そうだ、泉」
「んー?」
「俺たち、十日から十三日までいないけど、大丈夫か?」
「うん。大丈夫だけど…ロケ?」
「そー。アルバムの特典になるんだー」
「そっかー。気をつけて来てね」
しばらく一人か…などと考えていると。
「泉も来る?」
と剛が提案した。
が、
「行かない」
と、一蹴した。
「即答!?」
「あのねぇ、この家以外では、あまり私はあんたらといない方がいいの。分かるでしょ?」
「でもさ、この家に一人にするのも不安だし」
「大丈夫だって。久しぶりに家で一人になれるんだから、のびのびするわよ」
「ゴムゴムのー」
「のびのびの意味が違う」
九日の夜、六人がロケに行く前夜、私はお風呂上がりにソファで横になっていた。
すると、ずし、と重みがかかる。
「健ちゃあああん…」
「はっずれー」
「あれっ、博君!?一番やらなさそうなのに!」
「意外性を狙ってみました」
「狙わなくていいからね?で、なに?」
「明日から、本当に大丈夫?」