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ぶいろく一家

第5章 四章 「祝うと呪うは似ている(森田編)」


十二月の事を「師走」というが、一月もなかなかに忙しく、慌ただしく日々は過ぎていく。
正月休みなど芸能人であるV6と自由業の私には関係がなかった。
そんなこんなで、一月もそろそろ終わりを迎えようとしている。
そんなある日、剛を除く一同が、私の部屋に集合していた。

「そろそろ二月に入るし、あの話、進めておいた方がいいと思って。みんなも忙しくなるでしょ?」
「……あの話とは?」
「え……」
「あ、あれか」
「そうそれだよ、健ちゃん!」
「節分!」
「引っ込め」
「ちゃうやろ。二月と言ったらあれやん」
「それだね、准君」
「バレンタイン」
「沈めるぞ」

本当にピンと来ていないようなので、私は咳払いを一つすると、人差し指を立てて、厳かに言った。

「剛の誕生日さ」
「せんばさ」
「煮てさ」
「焼いてさ」
「食ってさ」
「…あんたがたどこさの話はしてない」

なんでこういちいち小ネタをはさんでくるのかね。
すると、まーくんと博君の「常識者コンビ」は、もちろん覚えていたらしく、私にそう告げる。
話の内容は、もちろんプレゼント含め、剛にどのようなサプライズを仕掛けるかだ。

「こういう時のサプライズって結構お決まりのあるよね」
「なになに?」
「泉が」
「体にリボンを巻きつけて、プレゼントは私、とかいう陳腐なのはやめてね」
「ボケ殺しだ…」

健ちゃんがうなだれる。

「んー、なんか一つのお話っぽくしてみるか?」
「坂本君、どういう事や?」
「だから、各自演じるんだよ。与えられた役割を。で、最終的に剛に驚いてもらえるようにする」
「なんか漠然としすぎだよリーダー」
「井ノ原うるさい。それをこれから話し合う為に集まったんだろ」

まーくんは微かに頬を赤らめながらそっぽを向く。
でも、まーくんのアイデアは案外面白いのではないか、という気がする。私達で、ドラマのように剛の誕生日を祝ってやるということだ。

「泉の役は決まりだね!」
「なに?不二子ちゃん?」
「それには後5おっぱい足りない」
「殴る前に5おっぱいという謎の単位について説明してもらっていい?」

それから剛が「お腹すいたー」と大声で叫びながら帰宅するまで、私達は色々と案を出し合った。
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