第5章 四章 「祝うと呪うは似ている(森田編)」
翌朝。
「……」
「……」
久しぶりに七人揃った朝だというのに、みんな無言である。
「その…昨日は…ごめんなさい!!!」
私が沈黙を破り、深々と頭を下げた。
そう、私の酒癖が相当悪いことは前述を見て頂ければ充分分かるだろうが、更にタチが悪いのは、私は酔っている最中の事を思いっきり覚えてしまっている事なのだ。
六人は目配せ合うと、にっこり笑った。
「大丈夫だよ。俺たちが事情も知らず半ば強引に飲ませちゃったのがいけないんだし」
「そーそ。それに俺、泉からキスしてくれたの何気に嬉しかったし」
「俺はされてないけどな」
博君とイノッチがフォローに入ってくれる。剛はただふてくされているだけだが。
すると、健ちゃんがよそってくれたお味噌汁を私の目の前に置きながらこう言った。
「二日酔い大丈夫?これ飲むでごじゃるよ」
「殺すぞ」
「物騒な事言っちゃダメでごじゃるよー?」
「分かった、言い方変えるね。お亡くなりになって?」
「うんうん、いつもの泉だ」
ニヤニヤしながら見てくる剛健コンビ。私は頭を抱えて「ぐおおおおお…」と苦しむのだった。
その日、六人は仕事があるため、同じ時間に家を出ていった。今年でV6は20周年を迎える。これからはコンサートや取材など、色々とみんなで活動する機会がぐっと増えるのだ。
私は入ってきた依頼の概要をまとめながら、まったく別の事を考えている。
「なにしたら喜んでくれるかなぁ…」
20周年と一言に言っても、それはとても凄い事なのだ。
私は一応20代ではあるが、そろそろいいお年頃。幼い時に剛と出会い、V6は結成当時から知っている仲である。
そうして考えてみるととても感慨深いものがあるなぁ…
と、一人思索にふけっていると、携帯電話が着信を告げている。出ると、それは無言電話だった。
「あのー」
「……」
「どちら様でしょうか?」
「……」
「私メリーさん、今あなたの後ろにいるの」
「…っ…」
お、手応えアリか。
「ではここで私が作った曲を披露します。タイトルは、俺のマイカー」
「他人のマイカーはないでしょおぉぉ!!」
プツッ
あ、切れた。…なんだったんだ?