第5章 四章 「祝うと呪うは似ている(森田編)」
「いいからちこうよれぇい!!」
「なぁ、剛でもこうなった時の対処法知らないのか?」
「残念ですが……」
「ロバ!!!」
「さ!か!も!と!」
「なんじゃさっきからはかたのしおみたいな言い方しおって…ヒック…」
「まったく、仕方ないな…」
「ちゅー」
五人は最後に残された剛を見る。剛も五人を見ており、五人はそんな剛に「もう、手の施しようがございません」とでも言いたげに揃えて首を横に振った。
「最後!モリタゴン!来い!」
「なんか恐竜みたい!!!まぁ、さっさと済ませるしかねぇか…」
剛が私の前に座った瞬間…
「お、おえ…」
「おおおおい!!吐くならトイレに!!!」
「トイレぇ?それなら増えるわかめを4パック入れておいたでごじゃる」
「それ誰に対する嫌がらせなの!?」
「そして地味に困る!」
健ちゃんとイノッチのツッコミが飛び交う中、私はそのままその場にこてんと倒れこみ、眠ってしまった。
それを六人が囲み、ふっと微笑む。
「俺たちと暮らし始めて、もう半年。色々疲れてたんだろうな」
まーくんが爆睡する私の頭を撫でる。
「でも、まさか泉の方からキスしてくるなんてね」
「確かに。まぁあながち嫌でもないって事なんかねー」
博君とイノッチの手も私の頭に乗る。
「それにしても、まさか泉にこんな爆弾が眠っていたとは思わなかった」
健ちゃんだ。
「これからはお酒飲ませるの、出来るだけやめさせた方がええってさっき思ってたけど、本音が出せるなら、たまにはええかな」
准君が最後に私の髪に触れる。
六人に見守られているとも知らずに、私はなんとも達成感満ち溢れた笑顔で、久しぶりにいい夢を見ていた。
「さて、俺が運ぶ」
そう言って私を持ち上げたのは剛だ。五人が非難の声をあげる。
「よく考えろ」
「なんだよ」
「…俺だけちゅーされてない…」
その悲しげなつぶやきに、五人は私を部屋まで運ぶという任務を無言で剛に譲った。
「ったく。もっといつでも本音言っていいんだからな」
「んふふー…ごーおー…」
「んー?」
「納豆ケーキー…」
「まずそう!!」
「んふふふー……」
「…なんか不公平だよな」
剛はふっと優しい笑みを浮かべると、私の唇に軽くキスを落とした。
私は、本当に久しぶりに、幸せに包まれた夢を見ている。