第5章 四章 「祝うと呪うは似ている(森田編)」
「うひゃひゃひゃひゃ!!!!!」
リビングに響き渡る奇声。
「泉…もうそのへんで…」
「うるしゃい!!お前ら!そこに直るでごじゃる!」
「ご、ごじゃっ…くっ」
准君がまたツボっているが今の私には関係ない。
そう、私はお酒を飲むと性格が一気に豹変してしまうのだ。こんな姿見られたくないがために今までお酒を断っていたのに、みんなの誘いについ乗ってしまい、「ま、正月だしいっか」と思った私をアントニオ猪木辺りに殴って頂きたい。
「お前らなー!!私がどんだけっく…悩んでるのか知っておるのか!!みんなしてちゅっちゅしてきおってぇぇぇ!!!一人一人制裁を下すでごじゃる!!まずはぁ…えーっと、そこの!なんだっけ、そこのー…猫ひろし!!」
「俺!?名前忘れられるほど印象薄いの!?そして猫つけるだけで一気に印象が変わる!どうしよう、俺嫌だ!」
五人は一人目の餌食である博君の背中をぐいぐいと割と本気で押した。
私は座った目で博君を見据え、顔を両手で掴み…
「ちゅー」
「うおおおおおおおおおおおい!!!!!」
ちゅーをした。
「なんで!?今のは殴られるとかじゃないの!?」
「ぐひゃひゃひゃひゃ!!いつもお前らからしてくるからのう。今日は私からでごじゃるよぉ」
「ところで泉は何キャラなの?悪代官なの?殿様なの?」
「次ぃ!プチョヘンザ!…違う、三宅!」
「変なあだ名つけられた!!…もー…」
意気揚々と来そうなものだが、今の私はぶっちゃけ相当めんどくさい。さすがの健ちゃんでもトボトボ来る程。
「ちゅー」
「はいはい、ちゅー」
「すごい、見事にいつもと立場が逆転してる」
「次はぁ…ノッチ!ノッチ!」
「イをつけてね!?別人だからね!?」
と言いつつ、イノッチはこの現状を楽しんでいるようである。私の前に座ると、はい、と唇をすぼめた。
「…ハックション!!!」
「なんか色々なものがかかった!」
「うむ。ちゅー」
顔をタオルで拭きながらイノッチ退場。
「じゃあー。松本!」
「じゅん違いや!!!」
「えぇー?えっと、潤!」
「だからそれは松本やねんて!!」
「うるしゃい。はよ座るでごじゃる」
「はぁ…ん」
「ちゅー」
取り残されたまーくんと剛はどうぞ、お先にどうぞ、とお互い譲り合っている(悪い意味で)。
「ロバ!!!」
「さ!か!も!と!」