第4章 三章「傍目から見たら兄弟的な。(カミセン編)」
「ここって男二人が来ると浮くね」
「スイーツ好きに男も女もあってたまるか!よしっ、行こー!」
剛が私の手を取って意気揚々と歩き出す。照れ屋な部分もあるけど、なんかこいつはノリが軽いな。
なんだかんだ一番気を遣わなくてもいい相手。付き合いが長いからかもしれないけどね。
スイーツフェスティバルは、たくさんのスイーツを扱っている。
ケーキから始まり、マカロン、パイ、クッキー、プリン…こんなに食べたら胃もたれしそうだ。
剛はまずケーキコーナーに入った。
「俺これにする!泉は?」
「じゃあ、これかな」
そう言ってお互いの好きなものを選び、テーブルにつくと、剛が早速ケーキを頬張った。
「うめー!な、泉のも一口くれよ!」
「どーぞ」
「これもうまい!それに…泉の食べかけだからかな…」
「あ、まだ私食べてない」
「食ーえーよ!!!!」
私もケーキにフォークを刺し、口に運ぶ。
うん、おいしい。
「ところでさ」
「ん?」
「岡田とのデートは楽しかった?」
「楽しかったよ。久々に体動かしたし!」
「…なんにもされなかったか?」
「…う、うん」
「目がクロールのような泳ぎっぷりだな」
剛が不機嫌そうに私の顔をじっと見る。
私はお手上げ、と言わんばかりに両手を上げると、准君とキスをしたことを話した。
「あいつ…てかお前無防備すぎっ!もう少し嫌がれよ!」
「…そうだね」
「うん」
「じゃあ剛とは今日はそういうことないんだね。一安心」
「えっ!!あ、え、い、う、え、お、あ、お」
「動揺し過ぎだろ。発声練習か」
「俺は嫌じゃないならしてあげてもいいけどっ?」
「…嫌じゃないよ。あんたらの誰でも。私は愛に餓えてますからねぇ」
軽いジョークで言ったつもりなのだが、剛はまたしても真剣な顔になった。
「誰か一人選べって言われたら誰選ぶ?」
「えー?んなの決めらんないよ」
「ビッチ!!」
「あぁ?」
「ごめんなさい」
まぁでもそう思われても仕方ない行動はしてるけどね。でも、私がみんなとのキスを許すのはその相手が求めてくれているからなのだ。
尻軽と言われても、私は私の居場所を作ってくれた六人が求めてくるのなら、それに応えたい気持ちが強い。
誰でも彼でもじゃない。V6のみんな、だからだ。