第4章 三章「傍目から見たら兄弟的な。(カミセン編)」
准君とのデートから三日後、部屋のドアがドーン!と開いた。
しかもちょうど着替えている最中に。
「ノックしろノック!!」
「あ、悪いっ!」
ドアを開けた主である剛は、扉を開けたままドアの外側をコンコン、と叩く。
馬鹿だ。阿呆だ。
とりあえず脱ぎかけのパジャマをもう一度着ると、剛の用件を聞く。
剛は目を輝かせて、
「甘いもの好きだよな!?」
と言い出した。
「まぁ、好きだけど」
「なんかスイーツのフェスティバルやるんだって!これから!行かね!?」
そういえば剛も甘いもの好きなんだっけ。昔からよく「ショートケーキの苺あげるからショートケーキちょうだい!」と言っていた。
いやいや、どう考えても逆だよな。なんで付属品と本体交換しなきゃいけねぇんだよ。
「まぁ今日は暇だからいいけど」
「やった!んじゃ今から十分後に集合!」
「はいはい」
私はきちんと返事をしたのに、剛は部屋から出て行かなかった。
「出てってよ」
「十分後に集合…」
「ここでかよ!?もー、私着替えるんだから出てって」
「おっぱいしか見ないから!」
「だから駄目だっつってんだろ!!」
「泉の残念おっぱい見てやるだけで感謝しろ!」
「反省して自ら死ぬのと怒り狂った私に殺されるのどっちがいい?」
「出来れば生きていたいです」
剛はそう言って逃げるように部屋から出て行った。私は溜息をつき、着替えを済ませる。一つ楽なのは、男装をしている時はメイクをしなくてもいいという点だ。
…女として如何なものかと思うけどね。
十分後、リビングに降りて行くと、健ちゃんと剛が言い合いをしていた。
「俺が今日は泉とデートすんの!」
「こっちはもう決まってるんですぅ!」
「ずーるーいー!!」
「健ちゃんも行く?」
「行かない!」
「お前に聞いてねぇよ」
顔を輝かせ、今にも「うん!」と言い出しそうな健ちゃんの言葉を遮り答える剛を叩く。
改めて健ちゃんを見ると、ちょっと考えたような顔をし、やがて大きく頷いた。
「俺はまた今度ゆっくり二人でデートできるところ探すから、今日は剛に譲ってあげるよ」
「…健ちゃん大人になったねぇ…」
「おばあちゃんか」
向かう場所に駐車場がないため、剛と私は電車で移動した。
目的地に着くと、やはり案の定女の子が九割以上を占めている。