第4章 三章「傍目から見たら兄弟的な。(カミセン編)」
「なぁ、准君。これ吊り橋みたいになってるみたいだぞ」
「ええな」
「バランス感覚鍛えるやつみたいだな。やってみるか?」
「ええわ」
「え、やらないのか?」
「ええわぁ…その話し方…」
「話し方じゃなくて中身を聞けよ」
溜息をつくと、結局その吊り橋に乗ってみることにした。
結構グラグラするので、バランスを保つのが大変だ。そこで、私にいい所でも見せたかったのか、准君がバク宙をしてみせた。おお、生で見るとこんな感じなのか。
「私もチャレンジしてみよっかな」
「危ないからあかんって言ってるそばからやんなや!しかもめっちゃ綺麗に決まりましたよ!」
「まぁ元々出来るからね」
「できるんかーい!!」
運動神経がいい私は、中学生の頃にバク転、バク宙をマスターしたのです。あ、今ドヤ顔です。
吊り橋も終わり、そろそろ外も暗くなってきたところで、帰ることにした。
駐車場に停めてあった車も殆どなくなっていて、私達が乗っていた車しか見当たらない。
私が助手席に座ろうとドアを開けようとしたのだが、なかなか開かない。
怪訝そうな顔で准君を見ると、彼は私に手招きをした。
「なになに?」
「我慢できへん」
准君は私を車に押し付けると、静かにキスをした。
唇を離すと、准君はどこか照れたように、どこか嬉しそうに、微笑んだ。
「初めてやな」
「何…が?」
「キスするん、初めてやん」
「そだね」
「みんながあまりにも泉に軽々しくキスするから、正直腹立っててんけどな」
「でも准君も今したじゃない」
「そ。みんなの気持ちがよう分かったし、俺も前々からしたかったし、せやから…」
准君が一瞬黙り込み、俯く。
私が顔を覗き込むと、ニッと笑い、耳元で囁いた。
「思いっきり堪能してええかな?」
「えっ…んっ!んんん…っふぁっ…んああっ」
「あんまかわええ声出さんで。歯止めきかんくなる」
「そ、なこと、言ってもっ…うんんっ…!」
激しく舌が絡まる。顔を離そうとしても、両手で肩を押さえつけされているので、動けない。
さすが鍛えていらっしゃる。
「准くっ…も…だめ…」
「あかん。無理」
「んんーっ!ふやぁ…」
准君は今まで我慢していたものを全てぶつけるように、深いキスを何度も何度も繰り返す。
やっと満足したようで、顔を離すと、「ごめんな」と言って私の頭を撫でた。