第3章 二章「傍目は男同士でお出かけです(トニセン編)」
「…先越された」
「へ?」
まーくんは珍しく少し拗ねたように、窓の外を見ている。
「俺が泉と一番最初にデートしたかったのに」
ドキリと胸が高鳴った。
だからなんでこういうこと言うかなぁ…!!
私が照れて俯いていると、まーくんは私の顎に手をかけ、すっと顔を上に向けた。
「ま、いいか。泉が楽しんでくれれば」
「まーくん…」
「キス、するから」
確認ではなく、予告だ。
そしてまーくんは私に静かにキスをする。そのまま私の方に体を持ってくると、レバーで座席を倒した。
「まーくっ…」
「これなら誰にも見られない」
「んっ…ぅん…んん…」
「舌出して?」
ちろっと舌を少し出すと、まーくんが吸い付いてくる。上手く表現出来ないけれど、凄く気持ちいい。
それからしばらく、キスの嵐。私もまーくんも夢中になって止まらなかった。
「…はぁっ…ごめん。我慢出来なかった」
「ううん…はぁ…だい、じょぶ」
「……」
「?」
「なんか今の泉凄くいやらしい」
「な!?」
まーくんが首筋に唇を落とすと、体が跳ねる。
「やっ…だめぇっ…」
「分かってる…これ以上はしないから」
さっと顔を離すと、まーくんは頭を撫でてくれた。
外は雨も落ち着いてきていて、もう車を発進させても良さそうだ。
まーくんもやはり同じことを思ったのだろう。シートベルトを締め直した。
私も座席を元に戻すと、シートベルトを着用する。
「さ、帰るか!」
「うん!」
「帰り、何か夕飯の材料買っていく?」
「ううん、確かキャベツと豚肉が結構余ってるし、それに…え、なんで笑ってるの?」
まーくんがハンドルに肘をついて私をニコニコと見つめているので、何か変なことでも言ったかと不安になる。
「いやいや、なんか、泉がいる生活が当たり前になってきたなってさ。泉も最初は嫌がってたけど、なんだかんだ順応してるし」
「う…まぁ……その…楽しいし」
「よし、その言葉だけみんなに報告する」
「だけだと!?」
リーダーらしい発言をし、私達は家に帰った。
「遅いわよ!まったく!子供達がお腹を空かせて待ってるっていうのに!」
「ただいまー」
「スルーはやめて!!!」
何故かお母さんキャラの博君を放って、家の中に入る。
…と。