第3章 二章「傍目は男同士でお出かけです(トニセン編)」
「お、おー。なんか近くで見るとすかした顔してるね…」
「確かに…ていうか運転が出来ない」
窓の外から私達の様子を見ていたダチョウはゆっくりゆっくりと車の前を過ぎるのだが、たまに横目で見るため、それが無性にイラっとする。
小馬鹿にした顔すんなよ。
ダチョウが去り、少し進むと今度はシマウマのゾーンに突入した。見られ慣れてるのか、シマウマは特に私達の事も気に留めず、悠々と過ごしていたが、一匹の子供が興味を示した。のそのそと近寄り、車の匂いをかいでいる。
かわええ。
窓開けて車内に入れたい。
てか、撫でたい。
「撫でてみたいなー」
最初は私が口に出してしまったのかと思った。しかしそうではないらしく、その声の主はまーくんだ。
私はいつも感じる。まーくんとの心境の波長が似ていると。また、まーくんは一歩先に私の発言を読んでいる節がある。全て見透かされているようで気構えしてしまう時もあるが、不思議と嫌な気持ちはない。
「泉、泉!」
「んー?あぁぁっ!ライオン!」
遂に待ちに待ったライオンゾーンへIN。
生で見たのは二度目だが、ここまで近いと迫力がまるで違う。
その中でも一際獰猛そうなライオンが近づいて来た。まーくんがビクッと肩を跳ねさせる。
そういえばこの人結構ビビりなんだっけ。本人には言わないけど。
どすん、と車に負荷がかかる。
寄りかかってきたのだろうか。すごいなー。こんなに近くでライオンが見られるなんて。
「窓開けていいっ!?」
「よしきたおらぁっていいわけねぇだろ!」
まぁ、ですよね。
どうやらまーくんは道を間違えて、草食ゾーンを全て見る前にライオンゾーンに来てしまったらしい。
ライオンも見られたし、軌道修正して草食ゾーンに戻る。
「あー!キリンだぁ。首なっが!!」
「本当長いな。どうやって支えてるのか不思議だよなー」
「ちょっと力入れたらぽきっと行きそうだよね!」
「エグい事言うなよ」
途中に休憩スペースがあったので、私達はお昼ご飯にする。
「はい、どーぞ」
「え!お弁当作ってくれたのか?」
「ん、まぁね」
サンドイッチ、唐揚げ、ポテトサラダなど、軽くつまめるものにした。