第3章 二章「傍目は男同士でお出かけです(トニセン編)」
「結構雰囲気あるねー」
それは使われていない病院を模した造りとなっていた。カルテが散乱している誰もいないナースステーションなど、結構凝っている。
「泉、勝負しようか」
「勝負?」
「最初に悲鳴上げた方が負けね」
「なぬっ!?ふっ…その勝負受けて立った!」
一分後。
「きゃあぁぁぁ!!!」
「早い!予想より遥かに早い!!そして男としてきゃあはどうなの!?」
突然現れた内臓が見える患者の霊にイノッチが叫ぶ。
確かによく出来てるし、いきなりで私もビックリはしたけれども。
その後もイノッチがきゃあきゃあ言っている横で、案外すんなりと平常心でいる私がいた。
…逆じゃね?
「は、ははは…全く怖くなかったね!」
「…もう一回入ろっか!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
入口に向かう私の腕を引っ張る。
イノッチはこういうの平気かと思ったけど、意外とダメなんだなー。と微笑ましくなる。
「あ!メリーゴーランド!」
「乗っちゃうー?」
「乗っちゃおー!」
切り替えの早いイノッチ、メリーゴーランドまで私の手を引っ張る。そういえば全然気づいてなかったけど、普通に手を繋いでいる。いつからだっけ?
「あははー。待ってくれよ、俺のお姫様ー」
「うふふー。きっと永遠に追いつかないわー」
馬に跨った二人の会話。
こういうの漫画とかでよく見るけど、本気でやる人いるんだね。…あ、私もだ。
散々遊び、そろそろお腹も減ってきた私達は、遊園地の中にあるレストランで夕食を取る事にした。
「何食べるー?」
「んーとねー、ビーフシチューかなー」
「あっ!取られた!じゃあ俺はねー」
「別に同じものでもいいじゃん」
「だめ!あ、それ美味しそう、一口ちょうだい。あーんってのやりたいの!」
「思ってても口に出すなよ。やらないよ」
「よしっ!ハンバーグにしーよおー」
やがてビーフシチューとハンバーグが運ばれて来て、私達は遊園地の感想を言い合いながら、楽しい夕食の時間を過ごした。
「わー!イルミネーション綺麗だねー!!」
外はすっかり暗くなり、イルミネーションがキラキラと遊園地を彩っていた。
「さて、最後にあれに乗りますか」
「あれ?」
イノッチが指を差したのは、観覧車だった。