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ぶいろく一家

第2章 一章「朝の日課はウィッグを被る事です」


顔を踏みつけると、剛は「ひでぶっ」と叫び、目を覚ました。
…こいつひでぶ気に入ってるのかな。

今日は剛が早出で、みんな各々仕事が入っているらしい。私もそろそろ浮気調査も大詰めで解決の兆しが見えてきた。

食器の片付けが終わり、みんなを送り出す。
最後に家を出たのはまーくんだ。

「忘れ物ない?」
「うん。…あ、あった」
「なに?取ってくる…っ!?」

突然手を握られ、引き寄せられる。そして、まーくんは私の唇に自分の唇を重ねた。
呆気にとられている私を少々照れ気味の表情をして、満足げに頷く。

「忘れ物なし!」
「も、もうっ!行ってらっしゃい!」

家に一人になると、あいつらがいたのが嘘のような静けさがある。
賑やかなのもとても楽しいし嬉しいけど、この一人の空間も妙に落ち着く。
そういえば、最近やけに六人にべたべたされるな…
そして男装に慣れた私も順応性高いな。

今日一番に帰ってきたのは博君だった。

「ただいまー」
「おかえりー」
「…なんだか新婚さんみたいだね。ただいまとおかえりのちゅーする?」
「ばーか」

そう笑いながらスルーすると、博君が私を壁に押し付け、体を密着させた。息がかかる、甘い匂いがする。
いつもは優しい笑顔なのに真剣な表情で、私は鼓動の動きが早くなるのが分かる。

「結構本気なんだけど」
「博君…」
「しーっ。軽くならいい?」

私は散々迷った挙句、こくりと頷いた。
博君と一瞬だけ短いキスをする。見つめ合うと、いつもの優しくて温かい笑顔に戻っている。
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