第2章 一章「朝の日課はウィッグを被る事です」
「あれ、片付け終わったの?」
イノッチが台本片手に降りてくる。私と剛はほぼ同時に頷いた。セーフ、キスは見られてなかったようだ。
私も剛もイノッチも明日は忙しいので、寝る事になった。
「おやすみー」
「あいよー、おやすみ」
剛が先に部屋に戻る。
イノッチと私も、挨拶を交わして部屋へ戻ろうとしたのだが、いきなり腕を引っ張られると、イノッチが私の額に唇を落とした。
「おやすみ、泉」
「おやす、み…」
真っ赤な私の顔をイノッチはにひひ、と笑った。イノッチもこういう事をするんだなぁ…と、怒りやドキドキよりも意外さが勝ってしまう。
部屋に戻りベッドに倒れこむと、疲れていたのかあっという間に意識を手放した。
翌朝、なにか聞こえる気がするが、私は構わず寝ていた。
「はい、というわけで、寝起きドッキリしちゃいます」
「お、寝ている姿も可愛いですねぇ…」
「パジャマではなくスウェット派なんですねぇ」
「おっと、これは下着か?」
「お前らなぁ…」
ボソボソと声が聞こえる。段々と目が覚めてきた。
「とりあえずこのセクシーな紫のパンティを被ってみましょう」
「被るなや!!おはよう!!」
「おーっと目が覚めたご様子!じゃあブラジャーをメガネ代わりにひでぶっ」
「しなくていいっつってんだろうが!!」
「あれ、なんで岡田ツボってるの?」
准君がうずくまって体をぷるぷると震わせている。
「だって…キレながらおはよう!って…くっ…ふふっ」
准君の笑いの沸点低いな。
「まったく……朝からなにやってんの」
「寝起きドッキリ」
「なにをしたかじゃねぇよ、理由だよ」
「俺は止めたんだけどな、ごめん、泉」
「あーもういいよ。ほら、着替えるから出てって!」
「おっぱいしか見ないからいてもいい?」
「出てけ」