HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第17章 さよなら淡い恋心《月島 蛍》
「仁花先輩と月島先輩か…。打ち合わせだと邪魔しちゃ悪いかな」
同じバレー部の主将と3年生マネージャーの立場の先輩たちがふたりで話している場面はよく見る。
立場上、打ち合わせなどで用事が多いのだろうと思う。
‥それでも部室で二人きりで話すことに、私は興味を抱いてしまう。
ちょっとくらいなら聞いても大丈夫かな…?
「ちょっとだけ…仁花が足りない」
「‥蛍くん」
「慣れないことやってるんだからさ、本当僕なんて主将の柄じゃないのにね…」
部室へのドア一枚を隔てて、二人の声が聞こえる。
「‥うそ」
ほんの隙間から見えてしまった光景は、二人が抱きしめあっている姿、だった…。
私から見えるのは、‥今まで私の見たことがないような月島先輩の表情。
愛おしいものを見つめるように、優しく、甘い雰囲気を漂わせる彼。
‥かっこいい。
でも、その表情は私に向けられているものじゃないんだ‥。
ほんの数秒、だけど凄く長く感じる。
‥あっ‥。
月島先輩の瞳が、私の姿を捉えた。
‥今すぐ立ち去らなきゃ、そう思うのに体が動かない。