HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第17章 さよなら淡い恋心《月島 蛍》
先輩は、‥仁花先輩を抱きしめながら、私に向かって人差し指を口元に寄せた。
”少し待ってて?"
そっと口元を動かして、私に伝えようとしている。
どうやら、私が部室に入るタイミングをなくしていると思ってくれたようで。
‥その、私だけに向けられた表情は、愛おしいもの守っている彼の柔らかい笑顔だった。
私なんかは、まるでかなわない。
二人には二人の紡ぎあげてきた関係があるんだ、そう思い知らされた気持ち。
私はそっと一礼し、その場を黙って立ち去った。
頬を温かいものがつたってゆく。
「‥止まれ、止まれっ…。」
泣いている暇なんて無い‥。
私は私の出来ることで、先輩の支えになりたい。
例え届かない想いでも‥、先輩への気持ちを大事に、大事にしたい。
だから、今は。貴方のことを想うのを、許してください。
私達の夢への道は、始まったばかりなのだから…。
おしまい