HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第17章 さよなら淡い恋心《月島 蛍》
入部したときから、先輩は一際私の目を引いていた。
普段は飄々としているけれど、試合では皆をまとめてプレーを組み立てている。3年生の先輩方は月島先輩とよく口喧嘩はしているが、主将としては認めて信頼しているようだった。
自分にもまわりにも真摯に向き合っているからこそ、時には厳しいことも言う。
でもそんな先輩は本当は凄く優しくて、先輩を知れば知るほど、何処にいても目で追ってしまうんだ…。
先輩と話す度、少し誉めてくれる度、私の心は締め付けられて、身体中に血液が波のように巡るような感覚になる。
きっと私は、月島先輩が好きなんだ‥。
「あ、いけない。部室に行かなきゃ」
休んで、と言われてもまだ今は合宿もの最中。修行のみである私に休息の時間など勿体ない。早く先輩たちに追い付いて、役にたてるようにならなくちゃ。
「‥でしょ?」
「月島くん、誰か来ちゃうよ?」
部室に近づくと聞こえてきた誰かの話し声。その中に聞こえた”月島くん"の言葉。
私の知る限り、その名前を呼ぶ人は一人しかいなかった。