HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第9章 真っ赤な恋の色《夜久 衛輔》
「あのっ、定期券探してましたよね。これ、車内であなたが落としたの見て。どうぞ」
ここまで一息に言い、定期券を差し出す。
ヤクさんはそれを受け取ると合点がいったようだった。
「あぁ、これに名前かいてあるもんな。ありがとう、拾ってくれて。」
定期券に名前が書いてあるのは当たり前だ。慌てていて忘れていた。よかった、変な奴だと思われなくて。
「いえいえ、よかったです!追いつけて」
「うん、ほんとありがとね、あー」
「あ、です。高3です!」
彼が名前を聞こうとしているのだと悟り、答えた。
「ありがとう、ちゃん。俺は夜久、夜久衛輔。高3。夜久は夜に久しい、で夜久ね。ちゃんいつも同じ電車だよね」
「え、夜久さん私のこと知ってるんですか?」
「そりゃ、いつも一緒の車両だからね」
はは、と可愛い笑顔で笑って言う。
「やば、朝練遅れる。ごめんちゃん、また明日、電車で声かけてよ」