HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第7章 こっちを見てよ《及川 徹》
黒板に縦書きで並ぶ綺麗な字体の二人の名前。これではまるで‥
「相合い傘、みたいだね」
まさに今、自分の思っていたことを発した彼女。
俺は驚いて目を丸くした。
「あ、及川くん。ごめんね、くだらないこと言って。直ぐ消すから」
ちゃんは俺が嫌がったと思ったのか、瞬間的に黒板消しを握って文字を消そうとする。
「及川くん‥?」
俺は咄嗟に席を立ち彼女の元へ向かい、黒板消しを握る彼女の手を掴んだ。そして決して上手いとは言えない絵心を駆使して「相合い傘」を書き上げた。
「俺はちゃんと、こうなりたいって思ってるよ」
二人の間に沈黙が訪れた。そして俺は彼女の手を握ったまま考えた。
途轍もないことをしてしまったのでは、幾ら何でも突然すぎる告白だ。きっと彼女も困っているに違いない。
普段は女の子に軽口ばかり叩く俺だけど、彼女にはそうも行かない。
でも、ここまで来たら言うしかない、そう思い直して彼女を見るとそこには、これでもかと顔を真っ赤に染めた彼女。
夕陽のせいじゃないと、思ってもいいのだろうか。
「ちゃんと、付き合いたい。俺は、ちゃんが好きです。」