HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第38章 君の心は、目覚めるのか《赤葦 京治》(ギンさんリク)
小走りで、関東特有の水分多めの雪を蹴りながら思った。
きっと君は、俺を親切で相談に乗ってくれる奴でたいして特別になんて思っていないのだろうけど。
「‥、風邪引くよ」
小さな公園のジャングルジムの頂上で、白い息を吐く君に声を伸ばす。
「赤葦」
夜も遅くて、公園の小さな街灯ではその表情は確認しづらい。
「紅茶、持ってきた。甘いやつ、好きなんでしょ」
途中のコンビニに寄って購入した某メーカーの紅茶を差し出して見せると、ゆっくりと降りてくる。
「スカートの中、見えそうだから気を付けて」
「見たら高値付くからね」
「はいはい、滑らないでよ」
危なっかしい彼女が何時落ちてしまうか、とやきもきしながら見守っていると、大層時間をかけて地表近くまでたどり着き、数10センチの所で飛び降りた。
「赤葦、紅茶飲も。そこのブランコ座ろ」
「‥濡れてるんだけど」
「いいよいいよ、気にしない」
赤らんだ素手でブランコの雪を払い除け、頓着せずに腰を下ろしたに倣って、隣に座った。