HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第34章 冬のヒトコマ《菅原 孝支》(かすみさんリク)
彼の白い肌とほんのりと灰色がかった柔らかそうな髪、それに赤い鼻先が相まって、なんだかとっても儚げでこの寒空に溶け込んでしまいそうな気がした。
「孝支の髪の毛、柔らかいね」
ベンチに座った彼の、普段は見えないつむじを見つけて周りを撫でた。
「いつも見上げてばっかりだから。なんか不思議」
「そりぁあ、な。俺だってそれなりに背はあるべ。旭とかに比べたら無いけど。‥に見下ろされるのも新鮮で、何かくる。」
立ち上がった彼によって私はまた、一瞬でいつもの見上げる形になって。ぎゅっと抱きしめられた。
「体、冷たいよ。」
「ん、じゃあ暖めてくれる?このまま」
背中に手を回して力を込めれば、そこに確かに彼がいると存在を確かめられた。ほのかに熱を帯出した私の体。その熱が彼にも伝わる。
「何で寒いのに、ここにいたの?」
並んでベンチに腰を下ろした。二人の距離はこれ以上ないくらい密着して手を繋いで、熱が伝わり合う。