HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第32章 聞かなくたってわかってる《影山 飛雄》(かすみさんリク)
言ってしまったことを自覚した時、なにか言わなきゃ、謝らなきゃと思ったのに。
‥彼の、感情の読めないような顔を見て、何も言えなかった。
「‥もう知らねぇ。じゃあな、」
そう言い捨てて走り去ってしまった飛雄くん。
私は目の前が真っ暗になって、今までが夢で、現実に引き戻されたような気がした。
どっちが大事なの、なんてまるで昼ドラのダメ女が言うような台詞。最悪だ。
まして私は彼のバレーにひたむきな姿に惚れたのに。彼にとって一番大事なバレーに嫉妬して、自分の方を優先してほしいと思うなんて。
だから今日は私の誕生日なんて何かある筈もないんだ、そう目の前の月島くんに漏らした。
「‥まあね、王様だし。気長に待ってやれば?何か最近増してイライラしてると思ってたんだけど。まさか彼女と喧嘩とはねぇー」
はは、だよね。なんて言って、同じ部活に向かう月島くんを見送って家路についた。
彼が隣にいない帰り道は、ずいぶんと長く感じた。