HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第30章 自信を探して《矢巾 秀》
すくっと立ちあがり、何事も無かったように首肯してバレーボールを放った。
「‥矢巾、練習試合どうだったの」
たしか、先日女バレでも練習試合があったはず。‥そうか、と彼女の泣いていた理由にようやく要領を得て、素直に答えた。
「俺の力不足が露呈したかな」
「うん、私も」
俺は山なりにボールをサーブし、がそれをレシーブする。
「私ね、自信があったの。自分がセッターになったら、チームを勝たせていけるって。でもこの前試合で全然うまくいかなくて、自信なんて消えちゃったよ」
そう言葉を放り投げながら、二人の間でボールがリズムよく往来する。
「‥俺もそう思ってた。前のセッターの先輩が凄すぎて、俺はそれを越えなきゃ、並ばなきゃって焦って自信なんてとっくに見失ったよ」
「うん」
「でもやっぱり思った。自信なんて無くてもいいんだよな。先輩だって自信なんてなかったんだと思う。だから必死に練習だってするんだ。」