HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第22章 もう一度君の姿を《天童 覚》(雨鳥 mg.さんリク)
俺に根負けしたのか、片方の缶をゆっくりとした動作で受け取り、プルタブを開けた。
「いただきます」
「どうぞー、じゃあ俺も」
同意もなく彼女の隣に座り込み、ココアの缶を傾ける。
「‥あっまいな、ココア」
女子はココアが好きなもんだと思って買ったけど、彼女が選んだのはまさかのコーヒー。
仕方なくココアに口をつければ、しつこいほどの甘みが口に広がった。
「ごめんなさい、コーヒーの方が良かったですか」
「いや、別に構わないからさ。ただ女子でコーヒー好きって珍しいと思ってね」
少し俺に気を許してくれたのか、目を見て話してくれたのが、なぜか嬉しくなった。
「コーヒーは、苦手なんです。」
「彼が、好きだったから‥」
「ふーん」
やばい、これ、地雷踏んだ感じ‥?
なるべく興味がないふりをして、相槌をうった。
「‥私、彼にフラれたんです。今さっき」
「‥なんか、嫌なこと聞いてごめんな。」
「いえ、‥聞いてもらってもいいですか」
「まあ、俺で良ければ?」