HQ‼︎ Language of love《短編集》R18
第22章 もう一度君の姿を《天童 覚》(雨鳥 mg.さんリク)
「あのさ、君何してる訳?風邪引くんじゃないの」
しんしんと降り積もる雪のなかで、俺の声は異様に響いた。
雪の反響作用なのだろうか。まあ、そんなことはどうでもいのだけれど。
「大丈夫です、放っておいて。」
「‥そうは言っても君ねぇ‥」
久しぶりの部活休止日に、真っ直ぐ帰宅する途中。俺がこうして見ず知らずの少女に声をかけたのは、ただの気紛れ。
つんけんとした素っ気ない態度を一貫するその少女は、既に顔は赤らみ、唇も紫ばんでいる。
気紛れとはいえ、声をかけた手前、放って帰るわけにはいかない。
「取り敢えず、これ飲めば」
すぐ近くでぽつり、煌々とひかりを放っていた無人の自動販売機に行って買ってきた、二つのココアとコーヒーを目の前に差し出した。
「‥いらないですよ?」
「いいから、2つあっても邪魔だから。で、どっちにするの、選んでよ」
早く、と2つの温かい缶をもった片手を軽く振り、選択を促す。
「じゃあ、‥コーヒーで」
「ん」