第3章 blue
目的地に向かいながら心当たりを探ってみてもやはり分からない。
私を陥れる為?
ただ人手が足りなかった?
否、それは無いな。呼ばれたのは私だけだし。
「あの~?名前を訊いても…?」
考えている最中に男に話しかけられたので思考は一時停止。
「雲雀です。」
「雲雀さんか~いい名前ですね!」
(本当に私の事を知らないのね・・・)
木々が立ち並ぶ森林の奥
とうとう目的地に着き、隊員達に緊張感が張り詰める。
巨大虚が一体二体、三体・・・五体・・・。
「い、一体じゃなかったのかよ!!??」
「こんなの倒せるわけがねえ…!!!」
霊圧に気付いた巨大虚はゆっさゆっさと私たちの方にその面を向けてきた。
途端に死神を捕食しようと一斉に攻撃を仕掛けてくる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
一目散に逃げようとする隊員達
「動かないで!!!」
「!?」
ここで死なせってしまっては過去と同じ。
あの悲劇だけは絶対に繰り返さないと誓ったんだ。
「そこから動かないで!」
一瞬で私の後ろに結界を張って
掌を前に突き出す。
霊圧をほんの少しだけ上げて
詠唱した。
「散在する獣の骨
尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪
動けば風
止まれば空
槍打つ音色が虚城に満ちる
破道の六十三 『雷吼炮』」
放った鬼道は少量の霊圧にも関わらず、爆炎を巻き上げて
五体の虚全てを一撃で消し去った。
「あんな一瞬で巨大虚が・・・」
結界を解いて「帰りましょう。」と言っても隊員達は唖然としたままだった。
時間が経ってようやく我に返った隊員と一緒に・・・
帰る訳にはいかない。
私にしつこく付きまとってくるかもしれない。
面倒事は御免だ。
そう考え直した私はその場から瞬歩で消えた。