第3章 blue
これからゆっくり資料でも片付けよう。
そう思っていたのに、零番隊に帰ってきたら市丸がソファーに居座っていた。
「あ、雲雀ちゃんようやく帰ってきた。」
何時から侵入してたの…?
「何か御用でも?」
「折角来たのに愛想悪いわ〜。
そっちこそボクに言いたいことあるんとちゃうん?」
私は思い出した。
さっき補佐を務めた隊員達に任務を任せたのは市丸なのかを確かめなければ。
「先ほど三番隊の補佐を任されたので行って来たのですが…」
「あー、それね。ちょっと聞いてくれへん?
四十六室もひっどいもんやで。」
また四十六室の命令か。
どうしてそうも権力の無駄遣いをするのか。
呆れて声も出なくなった。
「……分かりました。資料を片付けながらでもよろしいですか?」
「全然ええよ。」
席について黙々と作業する私と
お構いなく喋りまくる市丸とで部屋が異様な空気に包まれる。
「もうさ、イヅルにだけその事伝えといて隊長のボクに何も言わんってさ、どうかしてるで?
勝手に人の隊員使っといて。
しかもボク名義!えらい雑用が少ないな思っとってん。
んであとからイヅルに訊いたら四十六室からの出動命令!
ビックリするわ~。」
ほんの数分間の話だけでも
かなり裏が見えてきた。
市丸の証言が正しければ
四十六室が市丸の名前を使って吉良に出動命令を出し、隊員を派遣させた。
その際三番隊隊長である市丸には伝えなかった。
そして命令したのは隊長だと偽った。
妙な小細工ばかり。
恐らく市丸にバレては厄介だと踏んだのだろう。