第9章 wings
「ルキアさん早いですね!」
約束の十分前に十三番隊前に着いた私よりも早く朽木は私を待ってくれていた。
「思ったより支度が早く済んでしまったのでな」
「ルキアさんも死覇装なんですね。なんか安心しました。」
「やはりこの方が落ち着く。」
「ですよね!動きやすいですし。」
街に戦闘しに行きそうなテンションの私は、口が塞がることを知らないみたいにお喋りを続ける。
「あ、あの店のグッズ!見てみましょうよ!」
ぬいぐるみを集めた店に二人で入る。
そこには少し歪なうさぎのぬいぐるみがあり、
私はその残念で可愛い子達がとても好きだった。
「この何とも言えない残念な感じが良いんですよね~!…ルキアさん?」
隣を見ると朽木は商品台に積まれたぬいぐるみを食い入るように見つめて目をキラキラさせている。
「雲雀もこの素晴らしさがわかるのか…!」
「もしかして好きなんですか?」
朽木は両手にぬいぐるみを持ってコクコクと頷いた。
(こんな面もあるんだぁ!可愛い…!)
やはり人は表面からだけではわからないと、こんな時ほど実感するものだ。
私にとって誰かと仲良くなるのは凄く嬉しいことで。
「こんな共通点があるなんてビックリしました!」
「私もこれが好きだと言ってくれる人は初めてだ。」
「これキーホルダーにも出来るみたいですね。買ったらお揃い…」
「買おう。」
意外な趣味で意気投合した私達はその後一緒に昼食を食べ、
瀞霊廷を散策した。その間も買ったお揃いのぬいぐるみはチェーンを付けて帯にぶら下げ、二人の腰の辺りでゆさゆさと揺れていた。