第8章 dramatically
私の名前を覚えててくれていた事には感動したものの、
やっぱりこうして話をするとどこかソワソワしていて私とあまり目を合わせてくれない。
「…あの、私が怖いですか?」
「怖い…という訳ではない。」
「なら、これから下の名前で呼び合う仲になりませんか?
私のことは雲雀と呼んで頂くと嬉しいです。
あと、私の先輩なので敬語でなくてもいいと思います。」
朽木は一瞬だけ目を伏せて少し考える素振りを見せた。
自分の中の何かと戦っているのだろうか?
私はこの瞬間にそう考えずにはいられなかった。
(わざと人を寄せ付けないようにしている人も居るんだよね。)
その人は大体が面倒臭いか一人でいいから、と口で言いながらも実際は一人は嫌なのが一般的だと私は思っていた。
だから私はどんな時も自分を助けてくれるのは自分だけじゃないと信じていたから、どうしても近づいて欲しかった。
(誰かに心を開いてくれたら今より世界が楽しくなるはず!)
「…分かった。そうしよう。」
渋々承諾してくれたようなものだけど、私はこの答えに一安心。
でも今のはまだまだ序の口で、これからどう親交を深めるかが重要なのだ。
(女の子といえば…きゃー!何その可愛いストラップ!
ホント!?彼氏にもらったのー!
うそー!いいなぁ!…って感じかな。よし!)
随分適当な妄想だが、女の子ならではの攻め方が一番無難だろうから、私はどうか朽木が食らいついてくれることを願った。
「ルキアさん、お時間があればちょっと付き合って欲しい事があるんですけど…?」
「私で良いのか?」
「是非!…その、部屋のインテリアを迷ってまして、ルキアさんに買い物の付き添いをお願いしたいな、って…。」