第8章 dramatically
急いで身支度を整えて瞬歩で一番隊を目指す。
(朝ご飯食べてない…お腹空いた…。)
私はこの一夜で幸せに浸り過ぎると後々大変だと私は学んだのだった。
無事に仕事に間に合ってからもお腹の虫が元気に騒ぐ。
あまりにも大きな音で鳴るために、周りの人がチラチラと私の方に目を向けるのがちょっと恥ずかしかった。
「瀬越四席、今日は随分お腹が空いてるんですね。」
「ははは、そうなんです。朝ご飯を抜くのは辛いですね…。」
「朝を抜くなんて自殺行為ですよ!今の内に何か買って食べた方が良いですよ。」
「…そうですね。じゃ、ちょっと行ってきます。」
隣の人のお言葉で私は軽く食べられるものを探しに行くことにした。
(9時半か…おにぎりでも食べよ。)
すぐ近くにある小料理屋でおにぎりを二つほど食べ、すぐに隊舎へと帰る。
その執務室へ向かう途中の廊下で、見覚えのある後ろ姿が目に入った。
(あれ?十三番隊の、えーと…朽木ルキア!)
朽木はキョロキョロと辺りを見回して、何かを探している様子だったので私はすかさず声をかけた。
「お探しものですか?」
「あっ、いや、一番隊の四席の人を探してたんだが…どうも見つからなくてな。」
(へぇー!こんな喋り方するんだ〜。可愛い。)
「四席は私ですよ。」
「そ、そうか。瀬越殿だったのか。」
私は思わず自分の耳を疑った。
あんなに素っ気ない態度だった朽木が私の自己紹介を覚えてくれていた。それが分かっただけで凄く嬉しかった。
(これってツンデレって言うんだっけ?)
「私の名前覚えててくれてたんですね…!」
「え、ああ…何だか印象が強かったのでな…。」