第8章 dramatically
『まず、斬魄刀を屈服させる理由はさっき言った事と同じ。
君も知っているだろう?斬魄刀には始解と卍解があるって。』
(ダメだ…これは離してもらえそうにない…。)
「…うん。でも習得しても使いこなすには時間がかかるって聞いたことがあるよ。」
『その通り。どんな優秀な人でも卍解を長時間使うことは難しいし、斬魄刀と対話するのも霊力が高い人じゃなきゃ満足にできないことだ。』
「私は霊力ある方?」
『ある、なんて所の問題じゃないよ。高過ぎるくらいだ。
だから君に屈服させられなくても僕が自らすることも考えたよ。
雲雀には、早く僕の力を使いこなして欲しかったから。』
艶斬の腕にギュウッと力がこもり、お腹を締めつけられて一瞬だけ息苦しさを感じた時には艶斬と向き合うようにクルリと半回転させられていた。
『君と戦って僕は負けた。だから雲雀に、
僕の全てを捧げることを約束するよ。』
愛の告白ではないのに、私は何故か胸がジーンとなった。
「え、あ、じゃあ、もう始解とか卍解とかしていいってこと?」
『うん。』
お互い微笑みを交わして、私はどうかこれが本当に起こったことであることを祈った。
その後も艶斬と時間を忘れて語り合い、
私が住む世界ではもう朝日が顔を覗かせていた。
「…こんなに話したの久しぶりだなぁ…。」
『今までは浅打だったからね。
僕も雲雀とこうやって話せるのが嬉しいよ。』
「本当に?なら、これからもずっと一緒にいてくれたらもっと沢山話ができるよ。だんだん鬱陶しくなるかもだけど。」
『そっちこそ、僕に話すのが面倒になったりして。』
「そんな事はあり得ませんね。
でも、それぐらい近くにいれたらいいな…。」
『…うん。』