第8章 dramatically
瞬歩で追いかけ合いをしながら隙ごとに素早く攻撃をする。
艶斬の姿を目で追うのも一苦労だが、鬼道を当てるのはもっと大変だ。斬魄刀といえどもその動きは全隊長をも上回るように見えた。
(瞬歩が速過ぎる!どうやったら攻撃が当たるの…!)
容赦なく飛んでくる艶斬の攻撃のせいで考え事すらできない。
何度も艶斬の体と鬼道が私と紙一重の距離ですれ違い合い、
一瞬でも気を抜けば私がやられてしまいそうだった。
自分の反射神経を信じて躱しながら私が艶斬の上にポジションを置いた時に私は見た。
水面に映った艶斬の影。
そしてその影からこちらに伸びるようにして飛ぶ艶斬の鬼道。
(反射だ!これを使えばできるはず!)
私はあることを閃いた。
艶斬が仕掛けた攻撃を避けて一旦距離をとる。
艶斬が次の動きをするまでに私は大きな鬼道の玉を一つ作り、バレないようその後ろで同じ鬼道の少し小さめな玉を一つ作った。
(艶斬との距離は約5メートル、いける!)
私は二つの確率に全てをかけた。
一つ目は、艶斬は時折私の鬼道を避けずに刀で切っていたこと。
二つ目は、鬼道を切る時は真正面に立って動かないこと。
(正面から二つを重ねても無駄なのはわかる。)
大きいものの後ろに小さいものをくっつけて飛ばして、
大きい方を切って油断したところに小さいのが…という作成は今までの艶斬の反応速度からして上手くいくとは思えなかった。
だからさっき思いついた方法を迷いなく実践することにしたのだ。
「…破道の三十一、赤火砲!」