第8章 dramatically
『…僕達は、主の魂を元に形成されるんだ。
雲雀は無意識に他の力を遮断してしまう人だったから、
僕も君の魂を元にして結晶化する事が難しかったんだよ。」
「私のせいだったんだね…ははは…。」
(浅打のせいにしちゃって恥ずかし…。)
『ま、こうして僕は無事に君に会えたことだし。
これからよろしく頼むよ。』
「うん!明日から凄く楽しい日々になりそう!」
周りの人と同じように斬魄刀を携帯できる日がようやく来たんだ。
想像しただけで気分が上がる。
『…雲雀、もしかして僕を連れて歩くだけだと思ってる?』
意表をついてきたような笑顔で尋ねられた。
「え、 えと、違うの…?」
『…君は王族だけど、死神だろ?虚と戦うことの方が多いはずだ。
君は僕の力を最大限に引き出して戦うと鬼道より楽なんだよ。』
「確かに鬼道だけだと結構しんどいね…。
じゃあ戦う時は力を貸してくれるってこと?」
艶斬はニコッと微笑んで私の耳元に唇を寄せた。
『なら、僕を屈服させて?』
「……ん?」
言葉の意味が理解できない私を他所に、艶斬はスッと後ろに下がって指先から細かい霊圧の針を大量に私に向かって飛ばしてきた。
「ええええええ!?待っ、きゃぁー!」
唐突過ぎる攻撃をしゃがんで避け、もう一度艶斬を見る。
しかし私と目が合った瞬間に姿が消えた。
(どこ行ったの!?)
『霊圧開放しないと戦えないよ!』
頭上から降り注いだ声に私はハッとなって、霊圧を上げて瞬歩でその場から逃げた。
私の残像を切り裂くようにして艶斬の刀が振り下ろされる。
(あっぶない!手加減なしってことね。)
未だにどうして戦わなきゃいけないのか理解はできていなかったが、私はとにかく前の艶斬に集中した。