第8章 dramatically
光に目が慣れてゆっくりと瞼を開けた時、私は呼吸をする事をすっかり忘れてしまっていた。
頭上には永遠と広がる澄んだ空。
足下には何処までも続く水の世界。
全てが青く染められていた。
水面が鏡のように空を反射させ、写し出し、
まるで自分が空の上に立っているかの様な錯覚に陥る。
『初めまして。僕の御主人様?』
「へ?あ、、初めまして。」
突然目の前に現れた黒髪で碧眼の男の人。
優しそうな二枚目で、でもどこか妖しそうで、妖艶な雰囲気を漂わせていた。
『君に逢えるのを楽しみにしていたよ。』
切れ長の目を細めて微笑まれる。
「ありがとう…て、貴方が私の……」
『斬魄刀だよ。』
彼の口から飛び出したのは、私がずっと諦めていた、斬魄刀を持つことが出来ないだろうという思いを壊してくれるものだった。
「私の斬魄刀…!やったぁ!!!これでちゃんとした死神になれる!」
『はは、おめでとう。』
溢れ出て止まらない嬉しさを飛び跳ねて全身で表す。
(今日は本当に良いこと続きだぁー!)
何回か飛び上がっている内に、下にあるのは水なのにどうしてちゃんと地面を蹴っている感覚がするのか不思議になってきた。
そもそもここは何処なのかがわからない。
「あの、ここってどこ?私自分の部屋に居たはずなんだけど…。」
『ここは僕の精神世界だよ。僕の世界に君を呼んだんだ。』
「艶斬が住んでる所なんだ…凄く幻想的だね。」
『気に入ってくれたなら良かったよ。』
なんだかまだ夢を見ているんじゃないかと不安になる。
今まで浅打にどれだけ触れても変化が起きなかったのに、
修行が無事に終了した途端に斬魄刀になるなんて、急展開にも程があるのだ。
「でも、どうして急に斬魄刀になったの?」